大型映像とは
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GSCA2006 大会報告
IMAXは3Dに活路! DMRが本格化  
「バットマンRT3D」がヒット
作品賞は「ブルーオアシスU」3Dが総なめ
ソニーピクチャー「オープンシーズン」3Dは「ポーラエクスプレス」を越えた!


 フィルム系大型映像の世界大会GSCA(Giant Screen Cinema Association)2006がテキサス州ガルベストンの「ムーディガーデンズ」で9月18-20日の3日間、関係者430名が参加して開催された。同大会は今年1月、大型映像の世界組織LFCA(Large Format Cinema Association)とGSTA(Giant Screen Theater Association)が合併して誕生した新組織の第1回目の定期大会。


 3D映像に活路を見出すIMAXを中心とするシアター、制作会社、配給会社が一堂に会して、新作試写を中心に、シアター運営や技術情報に関するセミナーやトレードショーなど大型映像の将来を占う意味で中身の濃い3日間となった。

 同大会に先立って開催された代表者会議で世界中から24名の理事が選出され日本からも毛利 衛氏(日本科学未来館館長・宇宙飛行士)がアジア地区を代表する理事としてボードメンバーに就任した。(日本大型映像協会事務局長 鈴木広幸)
IMAXは中国、インドで急伸 

 世界のフィルム系大型映像施設(15P/70、10P/70、8P/70)は現在400館ほどで昨年は31館がオープンし、10館が閉館している。このうちIMAXが260館で65%を占めており、新設した31館のうち24館がIMAXシステムで、そのうち14館がシネコン併設型となっている。IMAXは廉価版シネコン用の3D「MPX」を2004年に発表し40館以上の契約をとっている。最近の傾向として北米はIMAX2Dから3Dへのリニューアルが見られ、南米、東欧、中東にもIMAXシアターが増えている。



 またBRICsの中国には2008年までに28館、インドには20館のIMAXの新設が見込まれている。このほかガルベストンのセミナーで隣り合わせたロシアの関係者はIMAXの人気が高くモスクワとサンクトペテルブルグにシアターができ、まだまだ増えるだろうとの見解を示していた。あとはフィリッピン、韓国に2館づつシネコン型が新設されて商業館として軌道に乗せている。一方、IMAXの導入が早かった日本とユーロではドイツで閉館がつづき新興国と好対照の状況を生み出している。このへんも経済環境の変遷がストレートに影響していると見られる。


新作試写は8本 ソニーピクチャー「オープンシーズンズ」3Dは圧巻


 今回、年次大会が開催されたガルベストンの「ムーディガーデンズ」では1995年に同様の大会が開催されており、その時には16ヶ国から850名もの参加者でにぎわっている。そしてこの大会で本格的3D作品の「ニューヨーク物語」(監督ステーブン・ロー)「愛と勇気の翼」(監督ジャン・ジャック・アノー)が発表されIMAX3Dの幕開けとなっている。特に「ニューヨーク物語」はアメリカ人のルーツであるヨーロッパからの移民を取り上げた作品で試写会でのスタンディングオーベーションが印象的であった。
 あれから11年、今回も18.9×25m,400席のIMAX3Dシアターをメイン会場に新作8本が上映された。オープニングを飾ったのがIMAX「DEEP SEA 3D」で1994年にオープンした大阪・サントリーミュージアム[天保山]のオリジナル作品「ブルーオアシス」の続編である。プロデューサーに「スペース・ステーション3D」のトニー・マイヤー、撮影監督とカメラマンにハワード・ホールとIMAXのドキュメンタリーの王道をいくスタッフで15P/70の3Dカメラの映像は本物の高精細でカラフルな実写を実現している。

 最近のIMAX3DはCG Iか8P/35からのブローアップ、水中撮影はHD映像からの15P/70へのコンバートが一般的であったが、8K以上と言われるIMAXの解像度にはIMAXカメラでの表現力に今のところかなうものはなさそうである。この作品が今年度にベストフィルムに輝いている。


次に「エベレスト」など常に秀逸なドキュメンタリー映像を提供してきたマクギルブレィ・フリーマンからは「ギリシャ」「ハリケーン」の2作品が試写された。「ハリケーン」(HURRICANE on the BAYOU)は昨年8月末にアメリカ南部、ルイジアナ州・ニューオリンズを水没させたハリケーン「カトリーナ」の大惨事を余すところなく伝えている。偶然、同時期にルイジアナの湿地帯に入っていたIMAXカメラによって撮影された惨禍の空撮映像は迫力十分で、ジャズの演奏と野生動物をからめた構成も安定感があり、IMAX6チャンネルの音楽は映像以上に想像力を喚起させてくれる。
ツール・ド・フランス 山岳地帯の空撮に感嘆

そしてナショナル・ジオグラフィックから「WIRED to WIN 」(ツール・ド・フランスを勝ち抜け)が上映された。同作品は世界3大スポーツといわれる自転車競技「ツール・ド・フランス」の人間ドラマとフランス全土3600kmを3週間で走りぬける過酷な男たちの戦い、そして最新の脳科学を駆使したCGIによるスポーツ医学からの分析と世界10億人が観戦する偉大なるサイクルスポーツの興奮を余すところなく伝えている。アルプスやピレネー山脈を越える山岳ステージでは縦走する車列に向かって超低空ヘリによる俯瞰から並走シーンに至るカメラワークには驚嘆すべきテクニックが見られ、こちらもチームワークの素晴らしさを感じさせた。


ソニーが初めての本格フルCGアニメ IMAX3Dで登場

 9月29日から北米で公開され早速、トップに躍り出た「オープンシーズン」IMAX3Dバージョンには正直、圧倒された。エンドクレジットにはピクサーのロゴがしっかり入っており、ディズニーに吸収されたピクサーとソニーピクチャーズがジョイントして制作したもの。とにかく動物たちの動きと表現力が素晴らしく、主人公のクマのプークにいたってはティディベアタッチの毛並みまで微細に再現されており、日本から参加していた特撮関係者も「信じられない」の一言で席を立ってしまうほどである。レンダリングにどれだけ金と時間をかけたのか、制作費1億ドルも頷けるところだ。2004年に公開されたトム・ハンクスが監督主演した「ポーラ・エクスプレス」IMAX3Dバージョンを凌駕している。日本でも12月9日からメルシャン品川IMAXシアターで同作品が3D公開が予定されている。とにかくCG関係者必見の作品である。このほかに「ROVING MARS」「RIDE AROUND THE WORLD」「ZION CANYON」(リメイク版)が上映された。

■ベン・スタッセン監督 3D作品「フライ・ミー・トウ・ザ・ムーン」来年3月リリース

 制作途中の作品を紹介する「フィルム・イン・プロダクション」には30本と例年になく多数が出品された。大別すると恐竜、海洋生物、昆虫、アフリカ動物、スポーツ、航空宇宙、世界遺産と多彩なテーマで表現方法も実写よりもCGIやアニメが主流になってきている。そしてこのうち20作品が3Dで企画されており、IMAXの既存の260スクリーン中、98スクリーンと年々拡大するシネコン型3Dシアターに照準を合わせたエンターティンメント系が主流となっている。
ベン・スタッセン監督

 20本の3D作品のうち完成度の高さではベン・スタッセン監督の「フライ・ミー・トウ・ザ・ムーン」が群を抜いている。同監督はシュミレーション映像のスピルバーグと称される実力派で今までに「エンカウンター3D」「SOSプラネット」「エイリアンアドベンチャー」「ワイルドサファリ」などIMAX3Dでヒットを飛ばしている。

 今回の作品はIMAXより2008年までに2000〜3000スクリーンになると予測される一般劇場用デジタルプロジェクタータイプの3Dシアターをターゲットにしている。
 
 「3D作品は最初の設計が一番重要で、2D映像を画像処理して3Dに焼き直したものはいずれ飽きられる」(ベン・スタッセン)というように計算された4KのフルCG映像はIMAX3Dでも高精細さが際立っている。

フライ・ミー・トウ・ザ・ムーン

 同作品は人類初の月面着陸したアポロ11号の中に3匹のハエが迷いこんで宇宙旅行をするという物語で仕上がりは90分、制作費は24億円。3Dシアター限定の上映となる。

 一方、2D作品では「アルプス」(マクギルブレィ・フリーマン)がIMAXでの最高収益110億円を記録した「エベレスト」(1997年)を彷彿とさせるティストで、これも来年3月の完成が待たれる。

8P35mm3Dカメラがリース開始
 技術検討会(テクニカルセッション)では3D変換技術やMSMデザインの35/8Pカメラやロシア製の3Dコマ撮りカメラなども紹介された。MSMのGEMINI LARGE FORMAT 3Dカメラは昨年公開されたトム・ハンクスが監督したIMAX3D「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」(アポロ11号の月面着陸を実写で再現した)に使用されたカメラの後継機でよりコンパクトでフィルムの装填、レンズ交換が容易になっている。スティディカムに搭載可能なプロ用3Dカメラで収録時間は1000f5分30秒。11月よりロザンゼルスでレンタルを開始する。

■デジタル化と3Dがキーワード

 フィルム系大型映像の世界にもデジタル化の足音が聞こえている。19日、メンバーミーテングを兼ねた昼食会の席上、来賓として登壇したIMAX社CEOリチャード・ゲルフォンド氏に対する質疑の中で「デジタルプロジェクターの性能が向上し、近い将来、IMAXの優位性がなくなるのではないか」という問いに対し「いずれそうなることは否定しないが」まだまだ先の話とかわしていた。ここに来てワーナーブラザースとIMAXが提携して年間4本以上のDMR(Digital Re-Mastering)作品をシアターに供給しているが、「スーパーマン」「オープンシーズン」のヒットでIMAXだけで可能な高精細3D作品に当分人気が集中しそうである。

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